いまや洗剤や化粧品、さらには食品にまでと、界面活性剤は、日用品に幅広くつかわれています。
界面活性剤が入ってるシャンプーは、髪にとって悪い、、というイメージをもっている人も多いのではないでしょうか?
ことばとしては広く知られている界面活性剤ですが、どんなものなのか正しく認識されていないのが現実です。
そこで、今回は、界面活性剤とはどんなものか?
そして、髪や頭皮にとって、本当に危険なものなのか?ということを説明していきます。
目次
界面活性剤が入ってるシャンプーは、髪にとって危険なもの?
界面活性剤は、毒性が低く人体への安全性は高いといわれています。
しかし、界面活性剤入りのシャンプーは、髪や頭皮にとって、完全に安全なものとはいえません。
なぜなら、界面活性剤は、その種類や性質によっては、髪がパサついたり、肌が乾燥して頭皮のトラブルの原因にもなるからです。
しかしながら、界面活性剤がつかわれていないシャンプーはほとんどありません。
また、髪や頭皮を清潔にするうえで、界面活性剤は欠かせないものです。
だから、界面活性剤の種類とそのはたらきに対する知識を深めて、なるべく髪や頭皮に刺激が少ないシャンプーを選ぶことが大切になります。
ここからは、界面活性剤がどのようなものかを説明していきます。
そもそも界面活性剤とは?
界面活性剤とは、水分と油分のどちらにもなじみやすい性質をもった成分の総称のことです。
本来、水と油はなじまないものですが、界面活性剤はその両者をつなぐ役割をはたします。
この性質から、界面活性剤はシャンプーやトリートメント、スキンケアなどのコスメ商品に広くつかわれています。
界面活性剤の効力
シャンプーにつかわれる界面活性剤は、主に、髪や頭皮の汚れをおとすためにつかわれます。
・浸透作用 → ある物質のなかに別の物質をしみこませる
・乳化作用 → 水と油が混ざり合わせる
・分散作用 → 粉末などの水に溶けにくい物質を水中に分散させる
これらの3つの作用によって、本来は水でおちにくい汚れでもおちやすくしてくれます。
この他にも、界面活性剤がつかわれることで
・泡立ちがよくなる
・静電気の防止
・殺菌作用
など、髪や頭皮にとってよい効果もあるんです。
界面活性剤の種類
界面活性剤は、その性質によって4つにわけることができます。
①アニオン界面活性剤
(陰イオン)
・泡立ちがよく、洗浄力がつよめ
・マイナスイオンを帯びる
・水に溶けやすい
・洗浄剤などに幅広くつかわれている
②カチオン界面活性剤
(陽イオン)
・静電気を防ぐ
・殺菌効果が高い
・プラスイオンを帯びる
③両性界面活性剤
・カチオン・アニオンの両方の性質をもつ
・刺激が弱めで肌にやさしい
・水に溶けやすい
・ほかの界面活性剤の補助的な役割
④ノニオン界面活性剤
(非イオン)
・刺激が弱く、髪や肌へのダメージが少ない
・水に溶けてもイオン化しない
・泡立ちが悪い、乳化にすぐれる
この4つのうち、シャンプーに配合されているのは、主にアニオン界面活性剤と両性界面活性剤の2つになります。
洗浄成分
アニオン界面活性剤と両性界面活性剤も、その洗浄成分によって4つにわけることができます。
①高級アルコール系
・泡立ちがよく、洗浄力もつよい
・原価が安く、市販のシャンプーのほとんどにつかわれている
・髪や頭皮への刺激がつよく、髪がゴワついたり、頭皮の乾燥を起こすこともある。
表示例:ラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Na
オレフィン(C14-16)スルホン酸Na
・ラウリル硫酸・ラウレス硫酸は石油由来
・オレフィン(C14-16)スルホン酸は植物由来
*高級とは、低級・中級・高級という分類上の表記のこと
②石けん系
・高い洗浄力がありながらも、髪や頭皮への刺激がアルコール系よりは低め
・脱脂力が高いため、頭皮にとって必要な皮脂まで落として、乾燥を起こすこともある。
表示例:石けん素地
ラウレス-〇酢酸Na
ラウレス-〇カルボン酸Na
③アミノ酸系
・洗浄力や泡立ちが上記2つにくらべると弱いが、適度な洗浄力で刺激がひくい
・保湿力がたかく髪のパサつきやゴワつきを抑えてくれる
・ダメージヘアをケアしながら洗える
・しかし、髪への吸着がつよいため、髪や頭皮に残りやすい
・しっかりとすすぎをしないと、かゆみやフケの原因にもなる
表示例:ココイルグルタミン酸TEA
ココイルメチルアラニンNa
ラウロイルメチルアラニンNaなど
④ベタイン系
・両性界面活性剤の洗浄成分
・洗浄力や泡立ちは弱い
・植物由来で髪や頭皮にマイルドでやさしい
・赤ちゃんにもつかえるぐらいやさしい
・刺激がひくいから、敏感肌・乾燥肌の人にはよい
・一方で、オイリー肌の人にとっては、洗い足りない感じがすることもある
表示例:コカミドプロピルベタイン
ココアンホ酢酸Na
ココアンホプロピオン酸Na
ラウラミドプロピルベタイン
この4つのうち、高級アルコール系と石けん系は、泡立ちと洗浄力がたかく、洗いあがりもサッパリとしています。
ただ、洗浄力がつよすぎるために髪や頭皮への刺激もつよくなり、必要な皮脂まで落としてしまうこともあります。
そのため、敏感肌や乾燥肌の人がつかうと、髪がパサついたり、頭皮にかゆみがでるなどのトラブルにつながる可能性もあるんです。
一方で、アミノ酸系やベタイン系は、泡立ちと洗浄力が弱めで、洗いあがりもしっとりとしています。
そのため、必要以上に脂をおとさず、頭皮のうるおいや髪のツヤを保ちながら洗浄できるんです。
一般的に、
・オイリー肌 → 洗浄力がつよいアルコール系や石けん系
・乾燥肌や敏感肌 → 刺激がよわいアミノ酸系やベタイン系
というように、髪や肌の性質に応じて、つかい分けることがよいとされています。
基本的には、髪や肌の性質でつかい分けるでもよいのですが、個人的にはそう思いません。
私の個人的な意見としては、髪や肌の性質に限らず、刺激が少ないアミノ酸系やベタイン系をつかうほうがよいと思います。
というのも、たしかに、オイリー肌の人にとって、洗浄力がつよいほうがサッパリとした感じは得られます。
しかし、必要な皮脂まで落としてしまうことで、かえって頭皮から脂がでるようになり、よりオイリー肌になってしまうことがあるからです。
まとめ
界面活性剤が入っているシャンプーは、髪や頭皮に悪いというイメージをもっている人は多いと思います。
じっさいに、界面活性剤は毒性が低い人体には安全とされていますが、髪や頭皮にとって完全に安全というわけではありません。
また、界面活性剤がつかわれていないシャンプーは、基本的にはありません。
しかし、界面活性剤は、髪や頭皮を清潔に保つうえで欠かせないものです。
だから、まずは、界面活性剤の種類とその性質をしっかりと理解することが必要です。
そして、自分の髪質や肌質にあわせて、なるべく刺激が少ないシャンプーを選ぶことが大切になります
。
これを機に、界面活性剤について理解を深めて、自分の髪や頭皮にあったシャンプーを選ぶようにしていきましょう!